バツ1のバツはホントに消せるの?
私共、司法書士は相続手続きをご依頼頂くとまず最初に亡くなった方の戸籍を生まれた時まで遡る作業をします。これは亡くなった方のどの時点に子供がいたかを探ることが目的です。一番新しい戸籍には記載されていない情報も多く、どんどん遡っていき、その方の家族の歴史をのぞいてみる作業とも言えます。
今日は、そんな日々の業務の中で学んだ戸籍にまつわる雑学をあなたにお伝えしたいと思います。
~バツ1のバツはホントに消せるのか?~
離婚歴がある方を「バツ1」などという呼び方があります。
これは戸籍に記載された名前の上に×印がなされたことに由来しています。
しかし、×印がつけられたのは一昔前の戸籍までの話でして、コンピュータ管理されている現在においては離婚の記録が一段追加されるようになっています。
本日は、この戸籍上の離婚記録であるいわゆる「バツ」についてお話させて頂きます。
巷では、「バツ1は簡単に消せる」や「離婚歴をなかったことにする方法」など都市伝説的に伝えられる情報が結構存在します。これは本当でしょうか?
答えは『半分正解』!
なんだそれ、とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、離婚の記録を一瞬隠すという意味では可能なんです。
その方法は転籍することなんです。
転籍とは、現在の本籍地(例えば東京都新宿区)から他の市区町村(例えば東京都渋谷区)へ本籍を移動することを言います。
転籍をすると従前(東京都新宿区)の情報は新本籍地(東京都渋谷区)には移行されません。つまり、新宿区の頃に離婚した記録は渋谷区に移した後には記載されないのです。
どうです簡単に離婚歴を消せたでしょう?(ここまでが半分正解)
ですが、世の中そう甘くはない!!
渋谷区の戸籍にはいつ新宿区の戸籍から移ってきて、その時の筆頭者は誰という情報が記載されてきます。自分が筆頭者でなかった場合に、この筆頭者が両親ではない誰かの名前だったら?
元夫(or妻)の可能性大ですね。つまり離婚したんでしょってことになります。(これが半分不正解)
もちろん、離婚すると一度両親の戸籍に戻ることもできますのでそこから転籍すれば前の筆頭者は両親になるので元夫(or妻)の影を消すことができます。
でも現代において、独身者が親の戸籍から抜けるケースはほとんどありません。つまり、独身者で自分が筆頭者になっている戸籍がある時点でかなりレアなんです。すると可能性の中に、「バツ1」疑惑が発生するんです。
まとめると、×の記録はパッと見は隠せるけど、よく見たら痕跡は残ってるということです。
とはいえ、パスポート作る時以外に戸籍を見たことがないという人が多い中で、その痕跡に気付ける人は少ないかもしれない、という意味では実効性の高い方法とも言えますかね。
おしまい